下期に向けて見直したい、エンゲージメント向上施策とは?

上期が終わり、下期の計画を立てる時期になりました。いくつかの施策を走らせ、サーベイも実施してきたものの、手応えがないと感じる人事・経営の方は、少なくないのではないでしょうか。

下期に必要なのは、施策を新しく「増やす」ことではなく、上期を振り返って見直し、絞り込むことかもしれません。実施した施策のうち、何が効果を上げていて、何が形だけになってしまっているのか。
サーベイの結果を、次の一手にどう活かすのか。
ここを整理することが、下期のエンゲージメント向上の起点になります。

この記事では、なぜ下期が施策の見直しどきなのか、上期をどう振り返るのか、そして下期に取り組む一手をどう絞り込むのかを、人事・経営の視点で整理していきます。

目次

下期に向けて見直したい、エンゲージメント向上施策とは?

1. 下期はエンゲージメント施策を見直す一つのタイミング

4月から翌3月を事業年度とする企業では、10月から下期が始まります。半期という区切りは、目標や施策を立て直す自然なタイミングです。
そして、エンゲージメントの取り組みも、この半期・年次のリズムと重なっています。

カオナビ タレントインテリジェンス総研が2026年1月に公表した、人事・労務担当者1,000名への調査によると、従業員のエンゲージメントや満足度をはかるサーベイを定期的に実施している企業は5割弱で、そのうち年1回以上実施している企業は8割超でした。

サーベイを定期的に実施している企業にとって、半期の区切りは、それまでの結果を振り返り、次の施策を検討する一つのタイミングになります。

同じ調査では、サーベイの実施目的として最も少なかったのが「すでに実施している施策の効果検証」で21.7%でした。
課題を可視化するところまでは進んでも、施策の効果検証にまでサーベイを活用している企業は、まだ多くないことがうかがえます。

背景には、人的資本への関心の高まりもあります。
2023年3月期以降、有価証券報告書提出会社では、サステナビリティ情報の記載欄が新設され、人的資本についても人材育成方針や社内環境整備方針などの開示が求められるようになりました。
人材や組織の状態を継続的に把握する重要性は、以前より高まっています。

こうした環境の変化も踏まえると、上期の取り組みを振り返り、下期に向けて施策を見直すことには一定の意味があります。

エンゲージメントの見直しの必要性とは

エンゲージメントは、一般に従業員と組織とのつながりの強さを表す概念として使われ、企業への愛着や貢献意欲などを含みます。「この会社で前向きに力を発揮したい」という主体的な気持ちに焦点を当てた概念といえます。

また、仕事そのものに対する活力・熱意・没頭を示す「ワーク・エンゲージメント」という関連概念もあります。

ワーク・エンゲージメントについては、組織や仕事に関するさまざまな成果との関連も分析されています。

厚生労働省の「令和元年版 労働経済の分析」では、ワーク・エンゲージメントが高い企業ほど、定着率が高く、離職率が低い傾向がみられ、労働生産性との関連も示されています(いずれも関連を示すもので、因果を証明したものではありません)。

人材の確保が難しくなるなかで、エンゲージメントの状態を放置せず、半期ごとに見直していく意味は小さくありません。

参考:
従業員サーベイの動向(カオナビ タレントインテリジェンス総研、2026年1月)
令和元年版 労働経済の分析(厚生労働省)

2. 施策は増やすより、見直す

エンゲージメントを高めようとすると、つい新しい施策の追加に向かいがちです。制度をつくり、イベントを企画し、ツールを導入する。
もちろんどれも有効になりうるのですが、増やし続けることには落とし穴があります。

中小企業を対象とした商工中金の2023年の調査では、エンゲージメント向上に向けた施策の取組済比率は、「賃金の引き上げ」が最も高く、次いで「ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方の推進」「企業理念の策定・浸透のための活動」が続きました。
上位には、賃金や働き方、企業理念など、制度や組織運営に関わる施策が並んでいます。

関心は高いが、実施が追いついていない

同じ商工中金の調査では、従業員エンゲージメントを計測している企業はまだ3割ほどにとどまる一方、「いずれ必要」と考える企業まで含めると、9割近くが計測の必要性を感じていることがわかりました。

つまり、多くの企業で「エンゲージメントは大事だ」という認識は広がっているのに、計測やその後の見直しが追いついていない、というギャップがあります。

施策を増やす際には注意が必要

賃金や制度の見直しは重要です。ただ、複数の施策を同時に動かすと、運用そのものが目的になり、効果検証まで手が回らなくなる可能性があります。

担当者にとっても、増えた施策の運用に手を取られ、一つひとつの効果を確かめる余裕がなくなることも考えられます。

下期にまず必要なのは、増やすことではなく、いま走っている施策を整理して、続けるもの・やめるもの・絞るものを見極めることです。

参考:
中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査(商工中金、2023年)

3. 上期を振り返り、サーベイ結果を打ち手に変える

見直しの出発点になるのが、上期に実施したサーベイの結果です。ただ、ここでよくつまずくのが、サーベイが「実施して終わり」になってしまうことです。
スコアの一覧を眺めるだけでは、現場は変わりません。サーベイは、実施することではなく、結果を具体的な打ち手に変えることにこそ意味があります。

なお、サーベイを実施していない場合でも、振り返りはできます。上期の離職や休職の状況、1on1や面談で挙がった声、異動希望や現場からの相談内容など、手元にある情報から課題の当たりをつけることは可能です。

打ち手に変えるには、次の3つのステップで進めると整理しやすくなります。

エンゲージメントを構成する要素に分けて見る

エンゲージメントを一つの総合スコアとしてだけ見ると、「上がった・下がった」で終わってしまいます。大切なのは、それを構成する要素に分解して見ることです。

設問体系はサーベイによって異なりますが、たとえば上司や周囲からの支援、仕事の裁量、成長の実感、職場の人間関係、承認の有無といった項目に分けて確認します。
どの要素が高く、どの要素が低いのかを分けて見ることで、打つべき場所が具体的になります。

スコアが低い領域から、原因の仮説を立てる

要素に分けたら、スコアが低い領域に注目します。
たとえば「上司や周囲から認められている実感」が低いなら、なぜそう感じられていないのか、その原因の仮説を立てます。
評価の場が半期に一度しかない、日常の中で成果に触れる機会が少ない、リモートで貢献が見えにくい、といった具合です。
スコアという結果から、その裏にある原因へと視点を移すことが、次の一手につながります。

仮説を、下期に打てる施策に落とし込む

最後に、仮説を具体的な行動に落とし込みます。
「承認の実感が低い」→「日常の中で感謝や称賛が交わされる機会を増やす」、
「成長の実感が低い」→「1on1で成長やキャリアを話す時間を設ける」というように、抽象的な反省ではなく、下期のあいだ実際に回せる一手にまで落とし込みます。
ここまで来て、はじめてサーベイが施策につながります。

4. 下期の重点テーマを「1つ」に絞る

振り返りの結論は、下期にやり切れる範囲まで、取り組むテーマを絞り込むことです。
絞り込むときの視点を、3つに分けて整理します。

既存施策を整理し、やめるものを決める

新しい一手を足す前に、いま動いている施策を書き出します。上期に効果が見えなかったもの、現場の負担だけが残っているものは、思い切ってやめる判断も必要です。
やめて生まれた余白に、下期の一手を置きます。何を足すかと同じくらい、何を止めるかが大切です。

サーベイの弱い領域を1つ選ぶ

スコアが低い領域のうち、事業や組織にとって影響が大きい一点を選びます。
すべてを同時に上げようとせず、下期はここ、と決めることで、施策も現場へのメッセージもぶれなくなります。

テーマが定まっていれば、その中で複数の小さな取り組みを組み合わせてもかまいません。
たとえば「承認」を重点テーマにしたうえで、1on1、サンクスカード、朝礼での称賛といった打ち手を並行させる、といった進め方です。

「続けられるか」で選ぶ

下期の一手を選ぶ際は、半年間無理なく続けられるかどうかも重要です。大きな制度改定は準備も負担も重く、途中で失速しがちです。

一方、日常の関わり方に組み込める施策は、始めるハードルが低く、続けやすい。
効果の大きさだけでなく、続けられるかどうかも選定基準に加えることが、形骸化を防ぐうえで重要です。

5. 続けやすい施策としての「感謝・承認の見える化」

下期の一手を「続けられるか」という視点で考えたとき、サーベイの結果から「承認」「人間関係」「コミュニケーション」に課題が見られる場合には、日常の感謝や承認を増やす取り組みも選択肢の一つになります。

承認や周囲との関係性は、エンゲージメントを考えるうえで重要な要素の一つです。

感謝や承認を増やす取り組みは、制度改定などと比べると比較的始めやすく、日常のコミュニケーションに組み込みやすい施策です。一方で、継続するためには工夫が必要です。

感謝や承認は、意識しなければ日常に埋もれてしまいます。

とくに、リモートワークや拠点の分散によって顔を合わせる機会が減ると、誰がどのように周囲を支えたのか、その貢献が見えにくくなります。

そこで、感謝をその場で伝えるだけでなく、周囲にも見える形で共有する方法があります。
朝礼やチャットで「ありがとう」を共有する、社内SNSで感謝のやり取りを可視化する、といった方法です。

その選択肢の一つに、感謝を可視化するデジタルサンクスカードもあります。「GRATICA(グラティカ)」は、感謝をカードにして送り合えるサービスで、誰が誰に感謝を伝えたのかを後から確認できるため、日常の中で見えにくい貢献にも目を向けやすくなります。

大切なのはツールそのものよりも、下期のあいだ、無理なく続けられる形で、感謝や承認がめぐる仕組みをつくること。
こうした取り組みを継続し、次回のサーベイで変化を確認し、施策後に組織の状態がどう変わったかを振り返り、次の改善を考える材料にできます。

6. 実行後、下期末にもう一度はかる

施策は、実行して終わりではありません。下期の一手を決めたら、下期末にもう一度サーベイではかり、上期からの変化を確かめます。

狙いを定めた領域のスコアが動いたか、動かなかったとすれば何が足りなかったのか。
スコアの変化には組織再編や繁忙期など他の要因も影響するため、施策の効果を直接証明するものではありませんが、次の改善を考える材料になります。

先に触れたとおり、サーベイの実施目的として「施策の効果検証」を挙げた企業は多くありません。だからこそ、施策を実行して終わりにせず、振り返りまで行うことが重要です。
半期という区切りを活用すれば、「上期にはかる → 弱い領域を選ぶ → 下期に一手を打つ → 下期末に再びはかる」という改善サイクルを回しやすくなります。

一度きりの見直しで終わらせず、半期ごとに小さく改善を積み重ねていくことが、エンゲージメントを掛け声で終わらせないコツです。

GRATICAでは、サンクスカードによる日々の感謝のやり取りと組織サーベイを組み合わせて、組織の状態を定期的に確認できます。

サーベイの結果から組織の状態を把握するだけでなく、改善に向けて優先して取り組むテーマを整理し、日々の感謝のやり取りを通じたアクションにつなげていくこともできます。

大切なのは、一度施策を実施して終わりにするのではなく、「はかる → 課題を捉える → アクションを実行する → もう一度はかる」というサイクルを継続することです。

7. まとめ

下期は、上期の取り組みを振り返り、今後の施策を見直す一つのタイミングです。定期的にサーベイを実施している企業であれば、その結果も振り返りの材料になります。
人的資本開示の広がりもあり、エンゲージメントを見直す意味は以前より大きくなっています。

このとき大切なのは、施策を新しく増やすことよりも、上期を振り返り、続けられる一手に絞り込むことです。
サーベイの結果を眺めるだけで終わらせず、要素に分解して弱い領域を一つ選び、原因の仮説を立てて、下期に打てる具体的な行動に落とし込む。そして、既存施策を整理して、やめるものを決める。

絞り込んだ一手は、半年間続けられるものであることが条件です。日常の感謝や承認を見える化する取り組みのように、始めるハードルが低く、続けやすい施策は、下期から着手するのに向いています。

実行後は、下期末にもう一度はかり、次の半期につなげる。施策を増やすのではなく、見直して絞り、回し続ける。それが、下期のエンゲージメント向上を、掛け声で終わらせないための現実的な進め方といえるでしょう。

サイトイメージ

デジタルサンクスカード GRATICA

ユーザー満足度調査90%以上! /
GRATICAは従業員間で「感謝の気持ち」を伝え合える デジタルサンクスカードサービスです。

参考文献

従業員サーベイの動向(カオナビ タレントインテリジェンス総研、2026年1月)
中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査(商工中金、2023年)
令和元年版 労働経済の分析(厚生労働省)

株式会社オーケーウェブ GRATICA編集部

3分でわかる!GRATICA

資料ダウンロード

デジタルサンクスカードサービス