チームビルディングを「やって終わり」にしない|日常の関係を育てて成果につなげる

近年、多くの企業でチームビルディングに取り組む動きが広がっています。
背景には、リモートワークやハイブリッドワークの普及により、メンバー同士が自然に雑談をしたり、お互いの仕事ぶりを見たりする機会が減り、以前よりも信頼関係を築く難しさが増していることが考えられます。

一方で、イベントや研修を実施したものの、「一時的な盛り上がりで終わってしまった」「思うような成果につながらなかった」という声も少なくありません。

チームビルディングは、レクリエーションやゲームを行うことではありません。本来の目的は、メンバー同士が安心して協力し合える関係性を築き、チームとして成果を発揮できる状態をつくることにあります。

この記事では、チームビルディングの基本的な考え方や代表的な手法を整理しながら、なぜ多くの企業で「やって終わり」になってしまうのか、その理由を解説します。

そのうえで、日常のコミュニケーションの中で関係性を育て続けるための考え方についてご紹介します。

目次

チームビルディングを「やって終わり」にしない|日常の関係を育てて成果につなげる

1. チームビルディングとは? 目的とチームワークの違い

チームビルディングとは、一人ひとりの能力を最大限に発揮しながら、チーム全体として高い成果を出せる状態をつくるための取り組みです。

業務を円滑に進めるためのコミュニケーション施策というイメージを持たれがちですが、単に仲が良いチームを目指すものではなく、それぞれの役割や強みを理解し合い、必要なときに助け合える関係性を築くことを目的としています。

チームは、メンバーを集めただけでは自然に機能するわけではありません。新しい組織やプロジェクトでは、お互いの価値観や仕事の進め方が分からず、意見がぶつかることもあります。

アメリカの心理学者ブルース・タックマンは、チームは「形成期(Forming)」「混乱期(Storming)」「統一期(Norming)」「機能期(Performing)」「散会期(Adjourning)」という5つの段階を経て成長すると提唱しました。チームビルディングは、この成長過程を支え、メンバー同士がより良い関係を築くための働きかけでもあります。

チームワークとの違い

「チームビルディング」と混同されやすい言葉に、「チームワーク」があります。

本記事では、チームワークを「メンバー同士が協力しながら仕事を進めている状態」、チームビルディングを「その状態を実現するための取り組み」と整理します。

例えば、定期的な1on1やワークショップ、部署を越えた交流、感謝や承認を伝え合う仕組みなどは、いずれもチームビルディングの一例です。こうした取り組みを積み重ねることで、結果としてチームワークの向上につながります。

参考:
Tuckman & Jensen(1977)Stages of Small-Group Development Revisited(ERIC)

関連記事:
心理的安全性とは?組織に必要な理由と高める方法

2. 代表的なチームビルディングの手法

チームビルディングにはさまざまな手法がありますが、「どれが正解」というものはありません。大切なのは、自社の課題やチームの状況に合った方法を選ぶことです。

例えば、新しいメンバーが増えたばかりのチームと、コミュニケーション不足に悩むチームでは、必要な取り組みは異なります。まずは代表的な手法を知り、それぞれの特徴を理解することから始めてみましょう。

ここでは、チームビルディングの取り組みを「イベント型」「対話型」「日常型」の3つに分けて考えてみます。

3つの手法はどれか一つを選ぶものではなく、イベント型できっかけをつくり、対話型で理解を深め、日常型で日々の行動として定着させるというように、組み合わせて活用することが大切です。

イベント型:短期間で距離を縮めたい場合に有効

イベント型は、レクリエーションやワークショップ、合宿などを通じて、普段とは異なる環境で交流を深める手法です。

接点の少ないメンバー同士でも会話が生まれやすく、相互理解を深める機会をつくりやすいメリットがあります。

新しいプロジェクトの立ち上げや、新入社員の受け入れなど、関係づくりのきっかけとして活用されるケースも少なくありません。

一方で、イベントそのものが目的になってしまうと、職場に戻った後の行動が変わらず、一時的な盛り上がりで終わってしまうこともあります。

イベント型は関係づくりの「きっかけ」としては有効ですが、その後も関係性を育てる取り組みと組み合わせることが重要です。

対話型:相互理解を深めたい場合に有効

対話型は、1on1ミーティングやチームでの振り返り、価値観を共有するワークショップなど、継続的な対話を通じて信頼関係を築く方法です。

業務の進捗だけではなく、困っていることや今後の目標なども共有することで、お互いへの理解が深まりやすくなります。

特に、部署間の連携や上司・部下のコミュニケーションに課題がある企業では、定期的に対話する機会を設けることで、普段の業務だけでは把握しにくい考えや課題を共有しやすくなります。

ただし、対話の場を設けても発言しづらい雰囲気では、本音を引き出すことはできません。心理的安全性を高める工夫や、継続的に実施できる運用が大切になります。

日常型:関係性を育て続ける仕組みをつくる

イベントや対話の場は、チームに変化を生み出すきっかけになります。しかし、その効果を定着させるためには、日々のコミュニケーションが欠かせません。

日常型は、感謝や承認、フィードバックなどを日々の業務の中で自然に交わしながら、関係性を少しずつ育てていく考え方です。

例えば、「ありがとう」を言葉にすることや、メンバーの小さな貢献を共有することも、日常型のチームビルディングの一つです。特別なイベントではなく、毎日の積み重ねによって信頼関係を育てられることが大きな特徴です。

もちろん、イベント型や対話型が不要というわけではありません。それぞれの手法には役割があります。

重要なのは、一度生まれたコミュニケーションを日常の中で継続できるかどうかです。イベントで生まれたつながりを普段の仕事につなげることができて初めて、チームビルディングは組織に定着していきます。

参考:
「効果的なチームとは何か」を知る - Google re:Work

3. チームビルディングが「やって終わり」になりがちな理由

チームビルディングの施策を実施しても、期待した変化が長く続かないことがあります。

その主な原因は、施策によって生まれた交流を、その後の日常的な行動につなげる仕組みがないことにあります。

ここでは、チームビルディングが一時的な取り組みで終わってしまう理由を考えていきましょう。

施策の実施そのものが目的になっている

チームビルディングに取り組む際は、「社内の交流を増やしたい」「部署間の連携を強めたい」など、解決したい課題を明確にすることが大切です。

目的が曖昧なままイベントや研修を実施すると、参加者にとっても何を意識すればよいのか分かりません。その場では楽しく交流できても、普段の業務に戻った後の行動までは変わりにくくなります。

施策を選ぶ前に、現在のチームにどのような課題があり、どのような状態を目指すのかを整理する必要があります。

一度の交流だけで関係性を変えようとしている

普段あまり話さないメンバーと交流することは、お互いを知るきっかけになります。しかし、一度のイベントだけで信頼関係が完成するわけではありません。

職場に戻れば、それぞれが日々の業務に追われます。交流を続ける機会がなければ、イベントで生まれたつながりも次第に薄れてしまいます。

チームビルディングの効果を定着させるには、日常の中でも会話や協力が生まれる状態をつくることが重要です。

業務上の行動に結びついていない

チームビルディングは、メンバー同士の仲を深めることだけが目的ではありません。相談や情報共有がしやすくなり、チームとして仕事を進めやすくなることが重要です。

そのため、イベント後には「以前よりも相談しやすくなったか」「部署を越えた協力が増えたか」など、業務上の変化を確認する必要があります。

楽しかったという感想だけで終わらせず、チームの日常にどのような変化を生み出したいのかまで考えることで、施策の目的が明確になります。

安心して発言できる環境が整っていない

対話の機会を増やしても、発言しづらい雰囲気が残っていれば、率直な意見や相談は生まれません。

Googleが実施した「Project Aristotle」では、効果的なチームに共通する要素として、心理的安全性が最も重要であることが示されました。心理的安全性とは、失敗や疑問、異なる意見を伝えても、不利益を受けないと感じられる状態のことです。

チーム内に上下関係への遠慮や失敗を責める雰囲気がある場合、交流の場を増やすだけでは十分ではありません。日頃から意見を受け止める姿勢を示し、安心して話せる環境を整えることが求められます。

日常のコミュニケーションが施策前の状態に戻っている

研修やイベントを実施した直後は、メンバー同士の会話が増えたり、普段接点の少ない相手との距離が縮まったりすることがあります。

しかし、その後の業務の中でコミュニケーションの取り方が変わらなければ、せっかく生まれた交流も一時的なものになり、以前の状態に戻ってしまうことがあります。

チームビルディングを定着させるためには、イベントや研修で生まれた気づきや関係性を、その後の日常の行動につなげていくことが重要です。

例えば、相談や声かけを増やす、互いの仕事や貢献を認める、感謝を伝えるといった行動を継続できる環境を整える必要があります。

特別な機会だけで関係性を変えようとするのではなく、日々のコミュニケーションそのものを少しずつ変えていくことが、チームビルディングを「やって終わり」にしないためのポイントです。

管理職の関わり方が問われる

チームビルディングを定着させるうえで、管理職の関わり方は重要です。

メンバーにコミュニケーションを求めながら、上司が意見を聞かなかったり、失敗を強く責めたりしていては、安心して話せる関係は生まれません。

管理職が自ら感謝を伝える、メンバーの意見に耳を傾ける、困っている人に声をかけるといった行動を示すことで、チームの中にも同じ姿勢が広がっていきます。

Gallup「State of the Global Workplace 2026」では、世界的なエンゲージメント低下の主な要因として、マネージャー自身のエンゲージメントの低下だと分析されています。

管理職の関わり方が、チーム全体の状態を左右するのです。

参考:
Google re:Work「効果的なチームとは何か」を知る
Gallup「State of the Global Workplace 2026」プレスリリース(GALLUP, INC 公式/共同通信PRワイヤー配信・日本語)

4. チームビルディングを日常で支える「感謝」

チームの関係性を実際に支えているのは、日々の仕事の中で交わされる小さなコミュニケーションです。

「ありがとう」「助かりました」「この対応が良かったです」といった言葉は、相手の行動や貢献を認めていることを伝えます。

こうしたやり取りを積み重ねることで、メンバー同士が相談しやすく、協力しやすい関係が育っていきます。

感謝によって、見えにくい貢献が共有される

仕事の成果は一人の力だけで生まれるものではなく、資料作成や問い合わせ対応、会議準備など、数字や評価には表れにくい貢献が数多くあります。

感謝を言葉にすると、誰の働きがチームを支えているのかが共有され、自分の仕事が誰かの役に立ったと分かることが、次の行動への意欲につながります。

適切な承認はエンゲージメントや定着にも関係する

GallupとWorkhumanは、職場での承認が従業員の意識や行動に与える影響を継続的に調査しています。

2022年から2024年にかけての追跡調査では、質の高い承認を受けている人は、そうでない人に比べて、2年後までに組織を離れている割合が45%も低いことが示されました。

Gallupは質の高い承認を、本物であること・公平であること・本人に合っていることなど5つの要素(柱)で定義しています。

そのうち4つ以上を満たす手厚い承認を受けている人では、転職先を探したり、よりよい機会を検討したりする可能性も65%低いという結果でした。

ここでいう承認は、単に褒めることではなく、具体的な行動や成果に触れ、本人にとって意味のある形で伝えることが重要です。

質の高い承認を受けている従業員は、組織文化とのつながりや、自分がチームの中で価値ある存在だという感覚を持ちやすいことも示されています。

大切なのは、回数だけでなく感謝の伝わり方

感謝や承認は、回数を増やせばよいわけではありません。形式的なメッセージを繰り返しても、相手に気持ちが伝わらなければ、かえって形骸化してしまう可能性があります。

O.C. Tanner Instituteが公表した「State of Employee Recognition 2026 Report」では、テクノロジーやAIは感謝を伝える助けになる一方、承認を意味あるものにするのは、人から伝わる誠実さや相手に合わせた内容だと指摘しています。

定型的・画一的なメッセージではなく、「何に対して感謝しているのか」「その行動がどのような価値を生んだのか」を伝えることが、意味のある承認につながります。

デジタルツールは感謝を伝える機会を増やすために有効ですが、人同士のコミュニケーションを置き換えるものではなく、支えるために活用することが大切です。

感謝を伝え合うことが心理的安全性の土台になる

Googleの「Project Aristotle」では、成果を上げるチームに共通する重要な要素として、心理的安全性が挙げられています。

心理的安全性とは、質問や提案、失敗について話しても、否定されたり不利益を受けたりしないと感じられる状態です。

感謝を伝えるだけで、心理的安全性が生まれるわけではありません。しかし、日頃から自分の行動や貢献を認めてもらえる環境では、「自分はこのチームの一員として受け入れられている」という感覚を持ちやすくなります。

その安心感が、分からないことを質問したり、異なる意見を伝えたりするための土台になります。

感謝を仕組みにすることで継続しやすくなる

感謝の大切さを理解していても、忙しさやリモートワークのなかでは、相手の働きが見えづらく後回しになりがちです。

だからこそ、個人の意識だけに任せず、日常のなかで自然に感謝が交わされる仕組みを整えることが重要になります。

チームビルディングは、一度のイベントで完成するものではありません。日々の業務の中で互いの働きを認め合い、その行動を続けられる環境があってこそ、チームの文化として定着していきます。

参考:
Workhuman × Gallup「The Human-Centered Workplace」
O.C. Tanner Institute「State of Employee Recognition 2026 Report」

5. 日常的なチームビルディングを支える「GRATICA(グラティカ)」

イベント型や対話型のチームビルディングは、メンバー同士が関係を築くきっかけになります。そこで生まれたつながりを定着させるには、日々の業務の中で互いの貢献に気づき、認め合える環境が必要です。

GRATICAは、サンクスカードと組織サーベイを通じて、日常の中で関係性を育て続ける「日常型」のチームビルディングを支えるサービスです。

日々の感謝を自然に生み出す

「ありがとう」「助かりました」と思っていても、忙しさから伝える機会を逃してしまうことは少なくありません。

GRATICAでは、サンクスカードを通じて、日常のちょっとした感謝や称賛を気軽に伝えられます。

資料作成を手伝ってくれたことや、困っているときに声を掛けてくれたことなど、普段は見過ごされがちな貢献も言葉として残せるため、感謝を伝える文化づくりにつながります。

見えにくい貢献を組織全体で共有する

サンクスカードは、送り手と受け手だけのやり取りではありません。
カードやリアクションを通じて、周囲のメンバーも日々の貢献を知ることができます。

「誰がどのような形でチームを支えているのか」が見えるようになることで、部署や役職を越えた相互理解が生まれやすくなり、協力しやすい関係づくりにもつながります。

組織サーベイでチームの変化を可視化する

チームビルディングは、「コミュニケーションは活性化したか」「メンバーのエンゲージメントは高まっているか」など、組織の変化を定期的に確認しながら改善を続けることが重要です。

GRATICAでは、サンクスカードによるコミュニケーションに加え、組織サーベイを活用して組織の状態を可視化できます。

感覚だけでは気づきにくい課題や変化を把握しながら施策を振り返ることで、チームビルディングの効果を検証し、次の改善につなげやすくなります。

6. まとめ

チームビルディングは、メンバーを集めてイベントを実施すれば完成するものではありません。

チームの課題を整理し、目的に合った手法を選びながら、その後もコミュニケーションを続けることが大切です。

イベントや対話の場は、お互いを知るきっかけになります。しかし、そのつながりを信頼関係へ育てるには、日々の業務の中で相手の働きに気づき、認め合う行動が欠かせません。

特別な施策を増やすことよりも、相談する、声をかける、感謝を伝えるといった小さな行動を続けられる環境をつくることが、チームビルディングの定着につながります。

まずは、現在のチームにどのような課題があるのかを振り返り、無理なく続けられる取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。

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参考文献

Tuckman & Jensen(1977)Stages of Small-Group Development Revisited(ERIC)
Google re:Work「効果的なチームとは何か」を知る
Gallup「State of the Global Workplace 2026」プレスリリース(GALLUP, INC 公式/共同通信PRワイヤー配信・日本語)
Workhuman × Gallup「The Human-Centered Workplace: Building Organizational Cultures That Thrive」
O.C. Tanner Institute「State of Employee Recognition 2026 Report」

株式会社オーケーウェブ GRATICA編集部

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