AI時代に勝つ組織の条件とは?「関係性」が新たな競争力になる理由

生成AIの進化が、ビジネスの前提を書き換えつつあります。
データ分析、文書作成、コード生成。かつて専門性が求められた業務が、AIによって代替され始めています。

一方で、AIによって業務は効率化されているはずなのに、なぜ職場の生産性やエンゲージメントは大きく変わらないのでしょうか。
人に求められる力は、どう変わるのでしょうか。

AI時代に活躍する人材とは、「AIを使いこなせる人」だけではありません。人と人をつなぎ、信頼を築き、チームで価値を生み出せる人です。
だからこそ今、「関係性」が経営課題としても重要になっています。

この記事では、AI時代に求められる力を整理したうえで、「関係性」がなぜ経営課題と捉えられるのか、そして日常の仕組みとして支えるためのアプローチを紹介します。

目次

AI時代に勝つ組織の条件とは?「関係性」が新たな競争力になる理由

1. AIに代替されない「3つの力」

AIが進化するほど、逆説的に『人にしかできないこと』が浮かび上がってきました。WEF(世界経済フォーラム/World Economic Forum)が1,000社以上を対象に実施した「仕事の未来レポート2025」では、2030年までに1億7,000万の新規雇用が創出される一方で9,200万の既存職が消失すると予測。

雇用主の63%が「スキルギャップは事業変革の最大の障壁」と回答しました。
同レポートで重要度が増すスキルの上位には、技術スキルとヒューマンスキルが混在しています。企業が今後注目すべき力は、大きく3つに整理できます。

①共感と信頼を生む力

たとえば、プロジェクトの遅延で焦るチームメンバーに「大変だったね、何か手伝えることある?」と声をかける。
あるいは、クレーム対応で感情的になった顧客に、まず気持ちを受け止めてから解決策を提示する。こうした場面で発揮されるのが、共感と信頼を生む力です。

職場の内外を問わず、相手の感情の機微を読み取り、適切な言葉で応える。こうした人との関わりの中で生まれる価値は、AIだけでは担いきれない領域といえます。

実際に、AI時代のリーダーシップ要件として「対話力」を中核に据える企業が増えています。戦略構想力や変革推進力と並んで、人との対話で組織を動かす力がリーダーに求められる時代になりつつあります。

②協働し、巻き込む力

営業が受注した案件を開発チームにスムーズに引き継ぐ。カスタマーサポートが拾った顧客の声を、プロダクト改善につなげる。
部門の壁を越えて人を巻き込み、チームとして成果を出す力は、AI時代にますます重要になっています。

デロイト トーマツが提唱する「パープルピープル」(ビジネスとテクノロジーの両方を理解し、部門を横断して価値を生む人材)が象徴するように、AI時代の成果は個人の突出したスキルからではなく、チームの連携から生まれやすくなっています。

同社は人事・DX・ビジネス部門をつなぐ「ブリッジ人材」の確保を、組織変革の重要テーマとして提言しています。

③創造的に問題を解決する力

「そもそもこのやり方でいいんだっけ?」と前提を疑う。他業界の事例からヒントを得て、自社の課題に応用する。こうした創造的な問題解決は、過去データのパターン認識を得意とするAIとは異なる、人間ならではの強みです。

先進的な企業の採用現場では、特定の技術スキルよりも「好奇心・挑戦心」「越境力(職種の壁を越えて影響を広げる力)」「思考力」を重視する動きが広がっています。WEFの調査でも、創造的思考は2030年のコアスキルTOP5に入っています。

注目すべきは、この3つの力がいずれも「一人では発揮できない」ということです。①共感は相手がいて初めて成り立ち、②協働はチームの中で機能し、③創造的な問題解決も多様な視点の交差から生まれます。
言い換えれば、これらの力は個人が持っているだけでは価値になりにくく、関係性の質によって発揮度が大きく変わる力だといえます。

AI時代に求められる力は、個人の能力だけで完結するものではなく、関係性の中でこそ発揮されやすいものです。ここに、スキル偏重の人材論だけでは語りきれない領域があると考えられます。

参考:世界経済フォーラム「仕事の未来レポート2025」第3章 スキル展望
参考:デロイト トーマツ「AI時代に求められる人材とは」

2. なぜ今、「関係性」が経営課題としても注目されるのか

「職場の関係性が大事」という認識自体は新しいものではありません。
ところが近年、それを裏付けるデータが蓄積されたことで、関係性は人事施策の一要素にとどまらず、経営上の重要テーマの一つとして注目されるようになっています。

心理的安全性とチームの成果

Googleが社内の数百チームを対象に実施した大規模調査「プロジェクト・アリストテレス」は、チームの成果を左右する大きな要因が心理的安全性であることを明らかにしました。
メンバーの学歴やスキルではなく、「このチームでなら安心して発言できる」という信頼感の有無が、成果に大きく影響していたのです。

ハーバードビジネススクールのエドモンドソン教授らによる136の実証研究のメタ分析でも、心理的安全性は学習行動、エンゲージメント、創造性と正の相関があることが確認されています。

参考:Google re:Work「効果的なチームとは何かを知る」

エンゲージメントの低下がもたらす影響

Gallupが世界183,806のビジネスユニットを対象に行ったメタ分析によると、エンゲージメント上位25%の部門は下位25%と比べて、利益率が23%高く、生産性が17%高く、離職率が51%低いことが確認されています。

一方、2025年には世界のエンゲージメント率が20%まで低下し(2020年以来の最低水準)、その生産性損失は約1兆ドル(世界GDPの約9%相当)に達したとされています。
特に深刻なのはマネージャーのエンゲージメント低下で、2022年の31%から2025年には22%まで下がっています。

同調査ではマネジメントの質がチームエンゲージメントの分散の約70%に関わるとされており、日々のマネジメントのあり方が、業績にも影響する重要な変数の一つであることがうかがえます。

参考:Gallup「State of the Global Workplace 2026」

若手離職の背景にある人間関係

厚生労働省「新規学卒者の離職状況」によると、大卒新入社員の3年以内離職率は34.9%(2022年3月卒)。

離職理由の上位には「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」が並びます。HR総研の調査でも、企業規模を問わず離職理由の上位3位は「業務内容のミスマッチ」「待遇」「上司との人間関係」でした。

これらのデータから、人材の定着やチームの成果は、スキルや制度だけでなく、人と人との関係性にも左右される部分が大きいと考えられます。

AIが業務を効率化するほど、残される「人間同士のやり取り」の質がより問われるようになっていくのではないでしょうか。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」
参考:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」

3. 活躍する人材は「日常の承認」から育つ

関係性が重要だと頭では理解していても、「日常の中でどうすればよいか分からない」「結果として、属人的・場当たり的になってしまう」──多くの企業がこの段階で詰まっています。

そこで鍵になるのが「日常の承認」です。
承認は、よい行動を可視化し、組織に再現性を生み出し、職場の関係性を良くする──最もシンプルで、構造的に効くアプローチだと考えられます。

では、職場の関係性を良くするために何ができるのでしょうか。
人材育成において効果的なのは、次のようなサイクルが職場の日常として回ることです。

良い行動が生まれる → 周囲がそれを認める → さらに挑戦する意欲が生まれる

「あのときの対応、すごくよかった」「他部署との連携、ありがとう」といった具体的なフィードバックは行動の再現性を高め、本人も周囲もその行動の価値を認識できるようになります。

「これなら自分もできる」という実感と、それを認める周囲の存在が、挑戦への心理的ハードルを下げるのです。

しかし、このサイクルは理想的ですが、実際には大きな壁があります。
このような日常の承認は「見えにくい」ため、対面で交わされた感謝の言葉はその場で消え、リモートワーク環境では伝える機会自体が減りがちです。

こうした「関係性」は、研修やスローガンだけでは定着しません。重要なのは、日常の中で繰り返される「小さな承認」を仕組みにすることです。日々の「ありがとう」を仕組みとして可視化できれば、それは継続的な人材育成を支える基盤の一つになるでしょう。

参考:デロイト トーマツ「AI時代に求められる人材とは」
参考:Gallup「State of the Global Workplace 2026」

4. AI時代の「強い組織」の条件

McKinseyのレポート「The Agentic Organization」によると、組織の89%は依然として産業時代の枠組みに留まっており、AIエージェント時代に適応した分散型ネットワークとして機能しているのはわずか1%にすぎません。

技術導入だけでは組織は変わらない。変わるべきは、組織の「設計思想」そのものです。

Googleのプロジェクト・アリストテレスが示した最も重要な教訓は、チームの成果を決めるのは「誰がいるか」ではなく「どう協力し合うか」だったということ。

優秀な個人を採用する人事戦略から、人が活きる関係性を設計する組織戦略への転換が、AI時代の競争力の源泉になります。

WEFも「最も成功する組織とは、テクノロジーを人間の可能性を引き出すための手段として捉える組織」だと結論づけています。

AI時代に強い組織の条件は、最先端ツールの導入ではなく、感情や信頼のやり取りが日常に溶け込み、成果がチームの協働から生まれ、挑戦と承認のサイクルが自然に回り続ける仕組みがあること。

この仕組みを「精神論」で終わらせず、具体的なプラットフォームとして実装できるかどうかが、AI時代の組織づくりにおける分岐点といえるでしょう。

では、「関係性」を経営にとって本当に機能する仕組みに変えるには、どんなアプローチが考えられるのでしょうか。

参考:世界経済フォーラム「仕事の未来レポート2025」
参考:McKinsey「The Agentic Organization: Contours of the Next Paradigm for the AI Era」

5. 関係性を動かす「ありがとう」の仕組み

ここまで見てきた課題を整理すると、重要になるのは3つの視点です。

AIに代替されない「関係性の力」を育てること、感謝や承認の文化を日常に定着させること、そして見えにくい貢献や人間関係の実態をデータとして経営に活かすことです。

「GRATICA」は、この3つに応えるデジタルサンクスカードサービスです。

社員同士がオンラインでサンクスカードを送り合い、感謝・称賛・承認のやり取りが組織全体で可視化される。このシンプルな仕組みが、関係性を動かす起点になります。

感謝の可視化が、良い行動を組織に蓄積する

これまで埋もれがちだった縁の下の貢献がカードという形で記録されることで、「何が良い行動なのか」の共通認識が組織の中に自然と醸成されます。

Gallupの調査が示す「マネジメントの質がエンゲージメントの70%を決める」という事実に対し、GRATICAはマネージャーだけでなく組織全体で承認を回す仕組みを提供します。

「見えない貢献」がデータとして発掘される

誰が誰にどんな感謝を送っているか。どの部署間の交流が活発か。新入社員はチームに馴染めているか。

GRATICAに蓄積される関係性データは、厚労省のデータが示す「人間関係が離職理由の上位」という課題に対して、問題が深刻化する前にシグナルを捉える手がかりになります。

AI分析と相性が良い「関係性データ」が集まる

テキスト × 送受信関係 × 時系列。GRATICAに集まるのは、構造化されたAI分析向きのデータです。チームの活性度予測や離職リスクの早期検知など、データドリブンな組織マネジメントに活用できます。

【GRATICA】
サンクスカード月間送信数の推移、と関係性を可視化するソーシャルグラフ

6. まとめ

AIが業務を効率化するほど、共感、信頼構築、創造的な協働といった人間同士の関係性の価値は高まっていきます。そしてその力は、研修だけで身につくものではなく、日々の関わりの中で少しずつ育まれるものです。

活躍する人材とは、関係をつくり、価値を共創できる人。そして、そうした人材は関係性が健全に機能している組織から生まれやすいと考えられます。

GRATICAは、日々の感謝を可視化し、良い行動を蓄積し、関係性のデータを経営に活かすことで、土台作りを支えるプラットフォームです。AI時代の組織づくりは、日常の「ありがとう」を仕組みにすることから始めてみませんか。

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参考文献

株式会社オーケーウェブ GRATICA編集部

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