横浜市、横須賀市に4つのクリニックと50床の医療療養病床を有する病院1施設を運営する医療法人社団 厚済会(以下、厚済会)。1980年に創立以来、“地域に密着した真心の医療”の提供を目標に経営を続けています。そんな厚済会が、さらなるCS(Customer Satisfaction:顧客満足)向上のために導入したのがGRATICAでした。結果、どのような変化が起こったのでしょうか。eNPS調査を通じて、多くの効果と課題が見えてきました。

CS向上のために必要なのは「職員ファースト」の精神

2018年に経営品質(製品やサービスそのものの質ではなく、質の高い製品やサービスを生み出すための経営・マネジメントの質)という考え方に出会って以降、厚済会はさまざまな取り組みを行ってきました。患者さんにより満足してもらうためには、何に注力すれば良いのか。行き着いた答えは、「職員ファースト」です。つまり、CSを向上させるためには、厚済会で働いている職員がイキイキと「やりがい」をもって働いていることが重要だと考えました。

まず導入したのが、紙のありがとうカード。カードを送り合うことで、職員同士が褒め合う組織風土の醸成を目指しました。結果、部署間連携などがスムーズになったという声も聞こえてきた一方で、カードの利用率が伸び悩むという壁にぶつかりました。手書きという点がネックとなり、字に自信がない人や記入のためのまとまった時間がとれない人は、積極的に利用しづらかったようです。

この現状を打破するために、我々がとった次なる施策が「電子版ありがとうカード」の導入です。いくつかのサービスを検討しましたが、機能がシンプルで使いやすく、費用面を含めて最も魅力を感じた「GRATICA」に決めました。

eNPS調査がすべてを物語る。GRATICA導入後、驚くべき効果が!

GRATICA導入により、ありがとうカードの利用率はじつに2倍以上に増加しました。また、以前より自社でES 調査を行っていたのですが、GRATICA導入前後で比較すると、総合満足度が22.1%も上昇。これだけでも驚くべき数字ですが、さらにOKWAVEさんで実施していただいたeNPS調査の結果もあわせて比較してみると、GRATICA導入の効果は明らかでした。

ありがとうカードを多く送った職員の方が、目に見えてeNPSが高いという結果が出たのです。厚済会の理念やビジョンに共感し、組織のコミュニケーション活性化を支援してくれる職員は、eNPSも高いと推測できるため、納得の結果だと言えるでしょう。

一方で、ありがとうカードをあまり利用していない職員の課題として、法人理念やビジョンへの共感、人事評価制度などが明確化されました。もちろん、これらすべてがありがとうカードで解決できるわけではありませんが、カードの利用率を上げることで、職場環境がより良くなることは間違いなさそうです。

「ありがとうカード委員会」から見た、GRATICAの効果と課題

GRATICAを導入して1年弱。最初の数ヶ月は、紙から電子へと変わった戸惑いや登録の遅れなどもあり、送られたカードの数も伸び悩んでいました。

それが徐々に浸透していき、現在は月に300枚以上のカードがやりとりされています。特に若い年齢層の利用率が上がりました。紙のカードでは年間2800枚程でしたが、GRATICAは初年度で3200枚を超える見込みです。

じつは厚済会では、2019年1月に「ありがとうカードプロジェクト」がスタート。「ありがとうの気持ちをカードにして伝え、より働きやすい職場にしよう」というコンセプトのもと、「ありがとうカード委員会」が発足しました。月に1度ミーティングを行い、各施設のありがとうカード利用状況などを報告し合っています。

その場で共有された様子からも、現場でお互いに声を掛け合い、褒め合う風土ができつつあることがわかります。すでに返信しているけれど、「昨日はカードをありがとうございました」という会話が自然に起こることや、他部署間でも頻繁にカードが飛び交っていることをふまえると、GRATICAが職場全体のコミュニケーション活性化に有効であることがわかります。GRATICAのおかげで、とても働きやすい職場になったと多くの職員が実感しています。

今後さらにGRATICAの利用率を上げていくためには、やはり「マネージャークラスの職員が積極的にカードを送ること」が必要だと感じています。上長が部下へカードを送ることで、ESの向上へ繋がることを期待しています。

また、紙のカードでは厚済会の企業理念をイメージしたカードを作っていたのですが、理念浸透に有効であると感じていましたので、GRATICAでもオリジナルカードを作成してみたいなと考えています。その他、ありがとうカード委員会で話し合われた改善案も、順次取り入れていく予定です。

働く職員も患者さんも、皆が満足できる職場を目指して

今回、現場の体感、調査結果の双方でGRATICAの効果を見て取ることができたことは、大変良かったと思っています。今後は、社員のeNPSを他の医療機関さんと比較するために外部へ調査を依頼し、課題を明確化すると同時に、課題の改善策を模索するために、GRATICAのeNPS調査の継続化も検討しています。

最近新たに、患者さんとのコミュニケーションを触発するために「GOODカード」を始めました。これは、患者さんが良かったと感じた「ありがとう」を伝えたい職員の言動や対応をカードに書き込み、職員へ送るというものです。こんなやりとりも、今後GRATICAでできるようになるとうれしいですね。これからも、患者さんに安心してご利用いただける医療機関を目指し、さらなる経営品質の向上に励んでいきます。